『在りもしない夏』
「記憶に在りもしないノスタルジックな夏」をテーマにイラストを描きました。 大学から少しだけ離れたボロボロの学生寮、風にそよぐ葉の音と遠くの自転車のベルの音だけが響く夏休みの午後。日陰ですら暑いのに痛いほどの日差しの下へ出かける憂鬱と高揚。 ぴったり合致する記憶なんて私にはありません。が、知らないのに懐かしい夏の風景は、大体こんなものでしょう。 ・ ・ ・ 以下は制作過程の覚書となります。 イラストメイキング『在りもしない夏』(64倍速) 1,もう夏は終わっているんですが? このイラストについては、「夏のイラストを丁度夏の時期に投稿できれば良いな~」と思い春頃に描き始めたのですが、どう考えてももう夏が終わっています。描くのがあまりに遅すぎる。 原因もとい言い訳として、「毎日投稿している軽めのイラストが優先で後回しになっていた」というのもあるにはありますが、それよりも重大なのは、「画面の中に描くのが苦手なものばかりしかなくモチベーションが保てなかった」ことな気がしています。 中景も植物もコンクリートも、よくよく考えたら全部描くのが苦手なのです。植物とは特に、いつまで経っても和解できていません。見るのが好きなものと描くのが得意なものが乖離している箇所が植物なのだと突きつけられます。 そして結局、悪い意味でデジタル感のある色使いやタッチから完全には抜け出せないまま切り上げることになるという。ブラシのジッターを弄って色相が勝手に揺らいでくれるようにしたり、アナログ感のあるブラシを使うことを心がけてはいますが、それでも調和は取れず、誤魔化すためにオーバーレイだのカラーバランス調整だのの加工をしすぎて、わざとらしい嘘っぽさが助長されて…。 写真をというより、イラストを参考にしながら描いたほうが上手くいくんだろうか。苦手なものを描くのなら、モチベーションがバッキリ折れない程度の作画カロリーに抑えたほうが良いのかな…。 2,遅筆ゆえの戦略 Twitterを追ってくださっている方はご存じかとは思いますが、6月ころからイラスト(ときどき別の創作物)を毎日投稿しています。上記で書いた通り、それらのイラストが原因となって今回のイラストが遅れたともいえますが、「絵を投稿しない期間が長く、そもそも絵師として認識されない」という問題を実はばっちり解決しています。そもそも毎日投稿の理由こそ、この遅筆